ルーマニア人の民俗舞踊音楽の名称。主としてトランシルバニアの周辺地域 (バナト地方,ビハル地方,サトゥマール県,マーラマロシュ県の他に,モルドヴァ地方やムンテニア地方) で踊られている踊り,「アルデレアナ」の伴奏音楽一般を総称する名称。バルトークは,アルデレアナという表示を,器楽による舞踊音楽の典型的なリズム・グループに対して,すなわち,四歩格の楽句からなり,多くの場合 AAкBBк と示される構造を持った旋律に対して用いた。そしてこれは,本質的には,ルシン人,ウクライナ人のコロメイカ旋律やハンガリー人のカナスターンツ旋律と同一のものである。ルーマニアの専門文献では,この旋律のうちの,トランシルバニアのヴァリエーションに特徴的な 9/16 拍子・10/16 拍子 (2+2+2+3, 2+2+3+3) のリズムを表示する概念として「アルデレアナ・リズム」という用語を用いている。このリズムは,ブルガリアン・リズムと呼ばれるリズム種のうち,トランシルバニアに典型的なタイプのものである。バルトークは,その作品の中で多くのアルデレアナ旋律を用いた。
(出典:Brock Haus Rienmann Zenei Lexikon)